【新唐人日本2011年3月23日付ニュース】中国の中央銀行、人民銀行は3月25日から銀行の預金準備率を0.5%引き上げると発表。これは今年に入ってから3度目の引き上げです。これにより、大手の金融機関の預金準備率は20%になり、すでに限界に達したといわれます。ただインフレが深刻なので、市場では利上げ予測が高まっていますが、利上げで人民銀行の負債問題が悪化すると専門家は見ています。
預金準備率の0.5%引き上げによって、3600億元の銀行資金が凍結し、50億元の純金利収入が減る予定です。
中国の2月の消費者物価指数、CPIは前月と比べて、4.9%上昇したほか、生産者物価指数、PPIも7.2%上がり、2年ぶりの伸びになりました。
中国の光大銀行のアナリスト、盛宏清博士は、まだ中国のインフレ圧力は強く、今年前半の消費者物価指数は5%を超えるだろうと指摘。この後も、利上げの動きがありそうです。
3月18日、イギリス「フィナンシャル・タイムズ」の中国語サイトで陳紹霞(さんは中国の商業銀行の預貸率、つまり預金残高に対する貸出の割合が、2009年以来急速に伸びていると指摘。すでにレッドラインの75%を超えた銀行すらあるといいます。
理論上、預金準備率の上限は、25%です。つまり銀行の預金のうち、75%を貸付(かしつけ)に使い、残りの25%を中央銀行に納めます。ただし貸付以外のお金をすべて、中央銀行に納めてしまえば、手元にお金が残らないので危険です。そこで預金準備率の上限が20~22%に定められており、これ以上上げることは困難です。そこで次のインフレ抑制策として、利上げが考えられます。ただ、利上げで人民銀行の負債が増えることが案じられます。
中国人民銀行は莫大な外貨準備高を有しているものの、実は巨額の負債を抱えています。2010年末、中国の人民銀行の総資産は25兆9300億元(約310兆円)に達しますが、そのうち外貨資産は20兆元あまり(約240兆円)にも上ります。自己資金はわずか219億元(約2700億円)に過ぎません。この自己資金を純資産だとみなせば、人民銀行の負債額は99.1%にも達します。しかも人民元の価値が上がっていけば、外貨資産の価値は下がっていきます。
人民銀行の持つ外貨資産は、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの国債と銀行の預金が主です。2008年の金融危機以来、各国の利息が史上最低レベルに下がったため、外貨による利益率も大幅に減少。しかし人民元で計算する負債コストは逆に上昇。1%の利上げで、人民銀行の支払う利息は約2000億元増えるからです。
このため、人民元が一気に引き上げられる可能性は低いとフィナンシャル・タイムズの陳紹霞さんは分析。これからしばらくの間、中国社会は、インフレに金利が追い付かない、実質的なマイナス金利から逃れられないと述べました。
新唐人テレビがお伝えしました。